ごあいさつ


 私の研究室では、社会心理学や生理心理学の手法、知見を用いて犯罪事象に深く迫るべく、日々、研究を続けています。
 実はここ数十年で、ようやく本邦の犯罪心理学の研究と実践の領域が定まり、研究と実践の課題が明確となり、そして日本の「犯罪心理学者」たちが誕生したといえます。以前まで、非行臨床心理学的な研究が中心であった時代から、2000年前後から大きく研究手法とテーマが変化しました。1995年にオウム真理教による地下鉄サリン事件が、また1997年に少年による連続児童殺傷事件(酒鬼薔薇事件)などの多様な事件が、バブル経済崩壊などの社会的変動に連動するかのよう多数発生し、臨床心理学的な視点のみではこれら事象が捉えきれない状況となったからです。
 またこの頃から、心理学の実験、調査のトレーニングを十分受けた研究者が、高度な研究手法や統計を使用し、犯罪捜査などの実務領域で研究を始めだしたことも急激な変化の一因となっています。日本初の犯罪心理学者、寺田精一氏が始めた虚偽や記憶に関連する研究がポリグラフ検査や目撃証言の研究として、また世界に先駆け犯罪者の類型化を試みた吉益脩夫氏の研究が犯罪者プロファイリングとして、ようやく開花したことになります。そして、認知面接、地域防犯、裁判員裁判、社会内処遇などの研究も加わり、犯罪者のみに焦点を当てていた古い犯罪心理学が、生まれ変わったことになります。
社会貢献といった発想や社会心理学者などの他領域研究者との共同研究も増え、実社会や他領域学問からの豊富な知見や、研究手法を取り入れることも多くなりました。
私たちは、犯罪心理学の発展には社会や他領域との交流は不可欠と考え、基礎研究と社会的有用性を両輪にし、研究成果を残すよう努力しています。

 

東洋大学 社会学部 社会心理学科/大学院 社会学研究科

教授(Ph.D) 桐生 正幸

 

TOYO UNIVERSITY
Masayuki KIRIU, Ph.D.
Professor
Department of Social Psychology, Faculty of Sociology
5-28-20, Hakusan, Bunkyo-ku,Tokyo 112-8606 Japan


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